脳神経外科

スタッフ

富川 勝
役職:脳神経外科部長
卒業年度:平成3年
資格:日本脳神経外科学会専門医

診療内容、診療実績等

脳卒中の診断、治療

脳卒中にはくも膜下出血,脳梗塞,脳出血があります。

くも膜下出血

脳動脈瘤の破裂によるものが大半ですが、脳動静脈奇形やもやもや病などの血管病変が原因のこともあります。多くはこれまで経験した事のない、激しい頭痛で発症します。CTや造影剤を使用しての3D-CTアンギオ(脳血管撮影)で出血した原因を診断します。脳動脈瘤破裂例では再出血を起こすと致命的ですので、多くの例では発症1−2日以内に再出血を防ぐ手術(クリッピング術)を行います。さらに、その後発症してから数日~数週間後に起こる脳血管攣縮(脳血管が縮む現象)に対する管理を行うことになります。そして発症してから数カ月後に起こる可能性のある正常圧水頭症などに対する治療(シャント術)が引き続き行われる例もあります。

脳動静脈奇形やもやもや病などの疾患の際には、手術をはじめ、種々の治療法を検討します。

脳梗塞

当院では、救急外来や病棟スタッフの協力のもと、発症3時間以内で種々の条件がそろった例では、静注血栓溶解療法(tPA)を行うことが可能です。tPAを使用できない、あるいは使用するほどでない脳梗塞例でも、早期治療が重要です。手足のしびれ、脱力、発語障害を生じた際には、早めの受診、あるいは救急要請が重要です。

脳出血

出血した場所や血腫の大きさにより、その症状や重症度がことなりますが、多くの場合は保存的に(血圧コントロールや脳圧降下などの管理)経過をみます。症例によっては血腫吸引術や、大きな出血で生命の危険が迫っている場合、救命のために緊急での開頭血腫除去術を行うことがあります。

脳梗塞や脳出血例の慢性期は、生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の管理や抗血小板剤、抗凝固薬をはじめとする薬物療法が、再発防止の上で大事になります。

脳血管障害疾患にて麻痺や言語、嚥下障害などの後遺症を来した場合、それを軽減させる目的で、急性期からのリハビリテーションを施行しています。慢性期になり、家庭復帰、あるいは社会復帰を目指したリハビリテーションが必要な症例では、引き続き当院の回復期病棟でリハビリを継続して行います。

主幹動脈狭窄症例で狭窄血管を拡張させる血管内手術が必要な症例や、開頭術では到達困難な脳動脈瘤で血管内手術が必要な症例は、血管内手術を施行している施設(長岡赤十字病院や立川綜合病院、新潟大学病院)へのコンサルトを行うこともあります。

頭部外傷

重症の脳挫傷、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫などの症例では、救命目的に緊急での開頭術を行うことがあります。麻痺や言語障害などの後遺症を来した症例では引き続きリハビリを行います。頭部外傷の軽症例でも、その症状や状況に応じて入院していただき経過を観察することもあります。

慢性硬膜下血腫

ご高齢の方、脳梗塞や心疾患をお持ちで血液をサラサラにさせる薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を服用されている方、肝硬変や血液疾患などにより血液が固まりにくくなっている方などで、軽い頭部外傷から数ヶ月たった後に、頭痛や軽い麻痺、言語障害、さらには、いわゆる「認知症」のような症状で発症することもあります。局所麻酔での手術で完治することがほとんどですので、疑わしい経過や症状があったら受診をお勧めします。

脳腫瘍

良性腫瘍と悪性腫瘍がありますが、いずれにせよ原則的には開頭での手術を行います。部位や症状が各々の症例で異なりますので、症例ごとに検討を行い、必要なら他施設へ加療を依頼する事があります。

転移性脳腫瘍では他科との相談の上、開頭での摘出や当院での放射線治療、あるいはガンマナイフ(北日本脳神経外科病院:五泉市)を検討します。

機能的脳外科疾患

顔面が痛くなる三叉神経痛、片側の顔面がぴくつく片側顔面けいれんなど、いずれも脳幹部からでる脳神経(三叉神経や顔面神経)を血管が圧迫して症状のでるものがほとんどで、開頭による神経血管減圧術を行うことで高い治癒率が期待できます。手術の際は各種術中モニタリングを併用する必要があり、長岡赤十字病院や新潟大学病院に加療を依頼します。

てんかんは薬物療法が重要です。難治性のてんかん例(種々の薬物を使用しても発作のコントロールが困難な例)では、新潟大学病院にてんかん外科の依頼を行うことがあります。

その他

高齢化に伴い認知症症例が増加していますが、いわゆる「認知症」のような症状で発症する、先述の慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症など、脳外科的手術で治療が可能な疾患が潜んでいる可能性があります。無論、アルツハイマー病や他の原因での認知症が疑われる症例では、神経内科や精神科など、専門医にコンサルトをいたします。

頭痛は比較的多くの方が訴える症状ですが、その中に放っておくと重症、あるいは致死的となる疾患(くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、髄膜脳炎など)が潜んでいる恐れがあります。CTやMRIなど、必要に応じて検査をいたします。また、そのような疾患でなくても、偏頭痛や緊張型頭痛など、程度が重ければ日常生活や仕事などに支障をきたす頭痛があります。多くは薬物療法が中心ですが、症状や状況に応じて、他施設にコンサルトすることもあります。

外来スケジュール

詳しくは、「外来診療担当表」をご確認ください。

お知らせ

当科は一般社団法人日本脳神経外科学会データベース研究事業(JND)に参加しています。

詳しくは、以下のPDFファイルをご覧ください。

病院誌のご案内

病院誌(第19号)臨床業績「脳神経外科」(PDF)

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